私の都市対抗観戦記
今年も都市対抗野球の季節がやってまいりました
・・この大会に全てをかける思い、勢い、重要さ身にしみて感じています。
正直に言えば私の場合、この大きな大会を身近に感じたのは
夫が社会人野球新日本石油ENEOSの野球部監督となってからですが、
夫にとっては社会人デビューしたときから切っても切り
離せない一年の全てをかけた企業同士の、
いえ、都道府県同士の熱い熱い戦いなのです
社会人野球というのは企業の看板を背負っているわけですから
勝つということは会社の名前をアピールできるということ、
そして選手の前にその会社の会社員なわけですから
「業績を上げた」に等しいわけです。
又、負けるということは野球部存続にお金がかかる以上、
仕事が出来なかった=「損をさせてしまった」という風に
他の社員の皆さんに思われても仕方なく
野球部存続にかけても明暗を分けるそんな戦いでもあるわけです
都市対抗の本選ともなるとその緊張感、
プロ野球のそれとは違い、会社、そして県という看板を背負い
その名にかけて戦いあうのですから
まさに戦国時代さながらです
そして一勝一勝勝ち続けないことには真の王者にはなれず
一つも落とす訳には行かない訳です
戦う選手も会社も応援も一つにならねば勝つことは出来ず、
勝つと言う事は、それら全てが評価されたに等しいほどの喜びの一体感でした
その一体感、戦う選手に情が移ってしまうほどの身近さがプロと大きく違い、
シーズンを通して勝ち負けの数で順位が決まる、
今日負けても明日から勝てばいいということが通用しない分
切羽詰るし、また普段の選手たちの苦労、
長所を知っていればいるほど一発勝負の怖さ、
また運の強さが勝敗をまたチームの明暗を分けてしまうのですから
祈らずにはいられないわけです。
私も野球選手の嫁を10年やっていますが
これほど応援に喉を枯らした事は無いほどです
思い起こせば去年の夏、夫の都市対抗初采配で予選落ちしたときの無念さは
言葉にすることは出来ずその後本選が終わるまでの二ヶ月間の長さ
私たち家族では何の慰めにもならず、
次の日に結果報告へと会社へ向かう夫の小さな背中だけが思い出されます
これが社会人なのだと強く思ったことも確かですが
そこから冬の日本選手権へ向けての猛特訓は
選手の皆さんが心を一つにせねば乗り越えられなかったのだろうと思います
一つ一つの勝利がここまで重たく大きいと、私たち家族にとっても
その時々の嬉しさや、悲しさは体験したことは無いものでした
というより、予想をはるかに超えたスポーツの凄さ素晴らしさでした。
同じチームの奥さんたちとともに気持ちを一つに
とにかくチームが勝つことだけを願い一致団結
自らの夫だけが活躍できればいい・・そんな気持ちは毛頭無く
とにかく勝ってほしい、繋げてほしい、頑張れ!!
それだけなのです
結婚してればなおのこと一番近くで頑張る夫の姿を見ているわけですし、
夫がその時間、懸ける思いなどは半端でなく、家族はまた沢山の我慢も強いられます
少しブウブウ言ったり、次の休みはいつ?なんて聞こうものなら理解してない!
とけんかになるわけです
山のようにしましたそんなケンカ(うちだけかな?)
我が夫は「そんなもの我慢じゃない!、それが理解できないこと自体が
野球選手の嫁として失格だ!!!」と・、何度言われたか
しかも待ちに待ったオフシーズンも成績が振るわなければ楽しい訳も無く、
地雷がそこらじゅうに埋まってる状態
どこをつついても爆発するわけです
もう一つ愚痴ってもいいでしょうか・・
ある日家を出る夫の後姿に向かってあくまでサラリと
「今日何時頃に帰ってくる?」
と聞くとくるりと振り返って一言、怒りの形相で
「なんでっつ!?」
そのままくるりと行ってしまいました
その後電話をかけてきた夫は謝るかと思いきや
「帰る時間を聞く嫁が野球選手を駄目にする」といい、ブチッ
こんな調子な訳です,個人的な話で横道にそれましたが・・
あくまでも我が家の例です
ですが勝ち負けは運だけではなくその練習量に比例するのではないでしょうか、
夫は言わずとも思っていると思いますが、油断したらおしまい、
練習であれなんであれ全て一つ一つが完全燃焼。
個人競技ではなく団体競技。
都市対抗野球は応援に至るまでが全てチームの一員なのです。
さて、神奈川県予選を第二代表で決めることの出来た 新日本石油ENEOS
最後の三菱ふそうとの戦いでは
一塁側のスタンドが全て埋まるほどの社員の皆さん、
そして応援団の皆さん、バンドやチアーの皆さんが声をからし
腕を振り上げ楽器は高らかに突き上げる応援団の皆さんの拳に
さらに心は一つになり大声を上げました
声が枯れるほどの大きな声が自然と出てしまう
こんな経験をしたのも社会人野球を私が体験できたからです
大声を出しすぎて軽くめまいが起こるほどの体験など、
大人になってからしたでしょうか
スタンドには野球部OBの方々が厳しくも優しく暖かく見守ってくれています
私を見つけてくだすったOBの皆さんからは
「大丈夫だよ」、「きっとやってくれるよ」
と励ましてくださります
初回から、先発で投げ続けた廣瀬投手、
エースの意地をこれでもかと見せてつけてくれます
その気合は同じグランドに立つ選手一人一人に、
そしてスタンドにいる私たちに伝わります
三塁の宮澤キャプテンの声が良く出ています
選手全員が声を掛け合い、
肩を叩き合い、
ナイスプレーには褒め喜び合い、
ミスを二度起こさない、いい意味での気合が私達に伝わります
七回、 初回から投げ守り続けた廣瀬投手から
150Kmの速球を投げる切り札 田澤投手に交代となりました
「頼むぞ田澤」・という声が廣瀬投手から聞こえそうでした。
そしてピッチャー交代の時には必ず託すボールを手にマウンドへ向かう大久保監督
田澤投手へとボールが渡りました
代表を懸けての戦いに緊張の一瞬ではありましたが
それを覆す、守る、支える八人の姿がグラウンドの中にありました
そして、ベンチの中にも。
七回、八回と交代の際には必ずお互いを確認しあい
廣瀬投手は後輩を必ずベンチの外まで迎えに出ていました
「いいぞ、できるぞ、やれるぞ!」と言ってるようです
その言葉の前にもう、もしかしたらは付かない。
その思いが強くなり九回裏抑える田澤投手への田澤コールが一つになり
夜空に激しくうねりを上げます。
ファールボールを追いかけうろちょろしていた息子もいつの間にか私の横で
「田澤、田澤」と声を張り上げています
皆が自然に立ちあがり思いが一つになっています
他にはもう何も見えないほどでした。
最後のツーアウトから最後のバッターが打ち上げたフライを
キャッチしたその瞬間
大歓声とともに流れる紙テープ、
飛び出してくる選手、
喜び合い抱き合う選手の姿が
涙で見えなくなりました
偶然にも私の前で観戦してくださっていた福本OB会長も
「おめでとう、良かった、確実に強くなってるよ」と
力強く握手をしてくださいました
大人も子供も皆前のフェンスへと駆け寄り喜びの輪が
又大きなものとなりました
この二年間の「力の結集」が導いた結果をまさに見て、
噛み締めた瞬間です
どんなときも、どんなときも頑張ってくれた選手、
又支えてくだすった会社と沢山のスタッフの方々に
心より御礼申し上げます
又沢山の勝ち負けを見ながらも信じ励まし選手を支える礎である
美味しいお食事と寮を守ってくださる矢田さんご夫妻
新たな側面から支え一致団結に多大なる力と
選手の眠れる才能を引き出してくれた名トレーナー成瀬さん
あらゆる試合にも駆けつけ支えフォローしてくださる広報部の皆さん
新人として誠実に精一杯東奔西走してくれた前橋君
一人として欠かせない力です
八月には本選が始まるわけですからそこに備え
ますますの気合が入るところですが
気を抜かずに大舞台に立つ事を思う存分満喫し
今までとこれからの力の結集に
感謝の気持ちで頑張ってほしいです
勝つことを楽しむ・・そんな強いENEOSを期待しています
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